この時期アイルランド西部・南西部を旅していると、鮮やかなオレンジ色の群生をさかんに目にします。
モハーの断崖へ至るカウンティー・クレア(Co. Clare)の沿道や、ディングル半島(Dingle Peninsula, Co. Kerry)など、道路の脇がオレンジ色に染まるかのごとく。
あまりにもきれいで、お客様とご一緒に歓声をあげては感激しています。

夏らしい鮮やかなオレンジ色。球根でどんどん増える山野草です
モンブリシャ(Montbretia)という南アフリカ原産の花。暖流の影響を受けて緯度のわりに温暖なアイルランド大西洋岸の気候風土に良く合って、自生しています。
花の名はフランス人のシャルル・コクベール・ド・モンブレ(Charles Coquebert de Montbret、1755-1831)さんにちなむそうですが、この人が南アでこの花を最初に発見した人だったでしょうか。以前にそう聞いたような気がするのですが…。
(日本ではカタカナで「モントブレチア」と表記されることが多いようです)
和名は「姫檜扇水仙 (ひめひおうぎずいせん)」だと、今回のグループさん最高齢の88歳の男性のお客様が教えてくださいました。
お若い頃に住んでいた場所で初めてこの花に出会い、なんてきれいな花!と感激して、牧野植物図鑑で名前を調べたのでよく覚えているのだそうです。懐かしい花にアイルランドで再会、その名をスラスラと教えてくださいました。
植物の和名には時々、イメージにそぐわないがっかりするようなものがありますが、これはきれいな名前ですね。
数年前にガイド仲間のシィネードがこの花の球根を持ち帰って庭に植えていたのを数株もらい、私も自宅で鉢で育てていますが、やはり野山に群生している方が断然美しいですね。
大好きなアイルランドの夏の花のひとつです。
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コメント
Yama
記憶の中の直子さんは大学生?だったかもしれません。
今日の日記の「姫檜扇水仙」の「姫」と「水仙」を取ると「檜扇」。これは「ぬばたま」のおかあさん。
黒い実に熟すことから、夜、黒などにかかる枕詞です。
さらに、「姫檜扇」という園芸種もあって、こんがらがりますね。
ともあれ、日本の那須で直子さんの日記を楽しみにしている読者がいることを知っていてくださると嬉しいです。
2016/08/21 URL 編集
naokoguide
自宅の鉢植えは、今まさに「ぬばたま」の黒い実が熟し始めているところです。
そうなんです、「ヒメヒオウギ」、「ヒオウギスイセン」など別の品種もあり、お客様とその話になって、これは「ヒメヒオウギズイセン」だということになったのでした。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。またお目にかかれることがありますように。
2016/08/21 URL 編集