
シアーシャ(Saoirse)とはアイルランド語で「自由」の意味。工房&ショップの可愛いロゴ
数日前よりご夫妻のプライベートツアーのご案内をしています。
乗馬をご趣味にしておられるとのこと、せっかくなので競走馬・種牡馬の産地として長い伝統のあるアイルランドの馬具屋さんをのぞいてみましょう、ということになり、旅の途中でバリナスロー(Ballinasloe, Co. Galway)の馬具ショップ&工房に立ち寄ってみました。
馬の鞍などを作る馬具職人の数はアイルランドでも少なくなっています。乗馬用品の専門店なども大型スポーツ店に徐々に吸収され、昨今あまり見かけなりました。(90年代にはダブリンのグラフトン通りにも一件あったのですが)
鞍を作る家族経営の伝統的な工房&ショップは、私が知る限りキルカレン(Killcullen, Co. Kildare)に一件あるのみ。→
Berney Brothersそこは今回のお客様の旅のルートからかなり外れるので、別のところがないかな…と探していてネットで見つけたのがバリナスローのシアーシャ・サドラリー(
Saoirse Saddlery, Ballnasloe, Co. Galway)でした。
バリナスローの町から田舎道を進み、本当にこんなところに馬具屋さんがあるのかな…と不安になった頃に看板が出てきたのですが、なんと掘っ立て小屋。

後で聞いたところによると、この建物は厩付属の麦藁を入れておく小屋だったそうです
せっかくここまで来たのだから中をのぞいてみましょう、と不安気なお客様をうながして扉を開けると、小さいながらも予想に反してきれいなお店でした。

馬に関するいろいろなものが売られていますが、乗馬に詳しくない私が見ても何やらわからないものがいっぱい(笑)
店内をぶらぶら見ていると、奥の工房からとても感じのいい40歳前後の男性が出てきて、その人が店のオーナーであり鞍作り職人のアラン。日本から来たと言うと奥の工房へ招き入れてくれて、馬具作りについて情熱たっぷりに説明してくれました。
15年の乗馬歴のあるお客様も、さすがに鞍を実際に作っているところは見たことがなく、興味津々&大感激。

アランのお祖父さんが建てた厩舎を改装した工房
バリナスローは馬に関しては長い伝統のある地域で、現在も毎年10月にはヨーロッパでいちばん歴史の古い大きな馬市が開かれます。
アランは馬を飼育している農場で育ち、鞍作り職人を志してイギリスの養成学校へ。今やイギリスのマスター・サドラリー協会より、最上級の鞍職人として認定を受けるまでになりました。
家業を継いで職人になったのではなく、一代で築いた新時代の鞍作り人というわけです。
そんな話を聞いているうちに、アランの作るメイド・イン・アイルランドの鞍が欲しくなってきたお客様。記念にひとつオーダーメイドしよう!ということに話がまとまりました。

お客様に鞍の寸法合わせの説明をするアラン。お客様の寸法を測り、写真を撮り、鞍のサイズやデザインを確認。ご帰国後にお客様にご自身の馬の寸法を測っていただき(専用キットあり)、それに合わせて調整します

アラン若かりし頃、サーカスの象の鞍を作って話題になったそうです!その時の新聞記事
象の鞍も作ったくらいだから、身体の小さい日本人の鞍を作るのは朝飯前さ~と冗談を言うアラン。お客様から馬の寸法が届いてから、約4週間で完成するそうです。
アイルランドにちなんで、緑のパイピングなどを取り入れたデザインをご注文されたお客様。日本でアイリッシュ・グリーンの皮張りの美しい鞍をのせた馬が走ると思うと、私もワクワクしてきます。
そして、旅の出会いを大切にして、記念に鞍を注文しちゃおう!というお客様の気風の良さにも感激しました。
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コメント
千尋
これから時々拝見させていただきます。
旅の記憶もよみがえり楽しみが増えました。
2016/07/13 URL 編集
naokoguide
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2016/07/13 URL 編集