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とサッカーブレグジットのユーロ2016

イギリスのEU離脱が決定。こちらではイギリス(Britain)+離脱(Exit)を合わせて「ブレグジット(Brexit)」という造語が出来るほどの一大関心事で、まさかの結果にアイルランドでも驚きとショックの声があがっています。

日本の経済への影響も懸念されていますが、隣国であるアイルランドにとってはより身近な問題。同じ島内にある北アイルランドはイギリス領ですから、島内にEU、Non-EU区域が出来ることになり、北アイルランドの今後の行く末に関してさまざまな懸念や憶測が飛び交っています。

まず今回の国民投票ですが、全体としては離脱支持が過半数を超えたものの、スコットランドと北アイルランドでは残留支持の票の方が多かったんですね。(ロンドンも。若い層は残留支持多数)
となると当然、スコットランドではEUに留まるためにはやっぱりイギリスから独立すべき!という理屈になるでしょうし、北アイルランドでは、これを機にアイルランド南北統一を国民に問うべきである!なんて声もあがっています。(by シン・フェイン党。ヴィリアーズ北アイルランド担当大臣は「もっと他に早急に対処すべき問題あり」とばっさり否定)

いちばんの懸念事項は、和平プロセスへの影響です。
北アイルランドは紛争後の和平・和解プロジェクトにEUから多額の資金援助を得ていますが、EUを離脱するとなると、それはどうなってしまうのでしょう。2020年まで420万ポンド(510万ユーロ=約6億円)の援助金が支払われることになっているそうですが…。

EU市場への入り口としてベルファーストなどへの投資を考えていた企業も、メリットがなくなってしまいます。
北アイルランドでは企業が進出しやすいよう、2018年まで法人税を20パーセントまで下げてアイルランド共和国と同じ税率にしていますが、今回のブレグジットでキャメロン首相が辞任してしまいましたから、次の首相は政策を変えてしまうかもしれません。

正式な離脱まで2か年の猶予期間があり、その間にさまざまな話し合いが行われて手続きが進められるようですが、EU離脱は前例のないこと。どこにどのような影響が出るのか未知数で、考えるときりなく懸念事項が出てきますね。

昨日の投票結果を受けて、どうしてもEUに留まりたいイギリス人がアイリッシュ・パスポートを申請しようと、ダブリンのパスポート・オフィスやイギリス大使館へ問い合わせが殺到しているそうです。
EUではなくなったブリティッシュ・パスポートではEU圏内の国へ自由に移住したり、仕事をしたりすることが出来なくなってしまうので、それが可能なアイリッシュ・パスポートを取ってしまおうというわけです。2005年以前に北アイルランドを含むアイルランド島内で生まれた人はすべてアイリッシュ・パスポートを申請できることになっており、イギリス人でも両親または祖父母がアイルランド人であれば、アイリッシュ・パスポートの申請が可能。
パスポート所持上の「アイルランド人」総数は、今後思いがけず増えることになるかも。

waterfordwispersbrexit0616
爆笑した昨日のウォーターフォード・ウィスパーズ・ニュース、「イギリス人難民、危険な船旅でアイリッシュ海を渡る」→Thousands Of British Refugees Make Dangerous Journey Across The Irish Sea - Waterford Whispers News(もちろんすべてジョーク。ウォーターフォード・ウィスパーズは時事問題を皮肉るなど、すべてがジョークの人気のウェブ・ニュース)

ブレグジットのニュースが飛び交う中、折しもヨーロッパは4年に一度の欧州サッカー選手権「ユーロ2016」の真っ最中。
アイルランドは一昨日のイタリア戦で悲願の本大会出場を決め、今どこもかしこもアイルランドの3色旗がはためき、国中が沸きに沸いています。
そんな中、昨日友人が朝いちばんに同僚に、「イングランドがアウト(OUT)したよ」と言われ、「ひゃっほ~」と大喜びしたのも束の間、「いやいや、UKだよ。UKがアウトしたんだよ!」と言い改められ、「ひぇ~」と真っ青になったそう。
はい、友人は、誰もかれもがサッカーの話をしているのでてっきりイングランドが敗退したのだと思ったそうで、まさかイギリスのEU離脱のことを言われているとは思ってもみなかったそうです(笑)。

サッカーのユーロではイングランドはまだ「離脱」しておらず、アイルランド、北アイルランド、ウェールズと共にベスト16に「残留」中。今日からベスト16が競う本戦が始まります。
ブレグジットについて聞かれたイングランドの選手は「よくわからないので…」とノー・コメントだったみたいですが、北アイルランド・チームの監督は、「不在者投票をするべきだった…」と後悔のコメント。ショックだったようですが、本日行われる北アイルランド(残留派!)対ウェールズ(離脱派…)の試合では頑張ってほしいですね。

ちなみにアイルランドの次の試合はは明日(6月26日)のフランス戦。
私はこれまで仕事で一試合も観戦できず、明日も仕事ではありますが、もしかしたらお客様が見たいと言ってくださるかもしれないので、その時は観光をちょっと中断してパブに立ち寄ることにします(笑)。

※ブレグジットの北アイルランドへの影響は、以下のIrish Timesの記事を参照。
Brexit vote pushes the North into ‘uncharted waters’

Villiers rejects SF call for Border poll after Brexit result

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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