
13世紀建立の聖ブリジッド大聖堂。右手前はオリジナルのハイクロス、上部が欠けていますがそれはそれで風情がありますね
先日、
ダブリン郊外のクロンドーキンに聖女ブリジッドの井戸を偶然見つけたことを書きましたが、不思議なシンクロニシティーのなせる業か、その後、普段めったに行くことのない、キルデアの聖ブリジッド大聖堂(St Brigid's Cathedral, Kildare, Co. Kildare)へお客様をご案内する機会に恵まれました。
なんだかブリジッドづいています(笑)。
聖ブリジッドはアイルランドではマリア様級に人気のある聖人で、アイルランドの3大守護聖人のひとり。カウンティー・キルデア(Co. Kiladare)の守護聖人でもあります。
伝説によると大変美しい女性で、求婚者が後を絶たず、神の道へ入ると決めていたブリジッドは自分の美貌を罪と考え、「私を醜くしてください」と神に祈りをささげたそうです。すると、顔の半分だけがあばたになったのだとか。さすがの神様も、顔全体を醜くしてしまうのは気が引けたのでしょうか。
キルデアの大聖堂は聖ブリジッドがアイルランド初の女子修道院を開いた地。現存する聖堂は1223年建立のゴシック様式(16~17&19世紀に改築・修復)のものですが、聖地としての歴史はブリジッドが修道院を開いた5世紀(480年)にさかのぼります。
修道院建立にまつわるブリジッドと布の伝説が有名。修道院建設のための土地をください、と地元の王に願い出るも、王はなかなか首をたてにふってくれません。そこで「私が腰に巻いている布で覆えるだけの土地でよいからください」とブリジッドは王を説得、いざ腰から布を外してふわ~っとしたら、その布がどんどん広がってキルデア全体を覆ってしまい、広大な土地を手に入れて修道院を建設が叶ったと言い伝えられています。
当時の建造物は木造だったでしょうから現存しませんが、大聖堂の敷地内には、高さ33メートル、国内で2番目に高いラウンド・タワーがあり、タワーのてっぺんまで登ることが出来ます。
ちなみに国内でいちばん高いラウンド・タワーは
斜塔として知られるキルマクダー修道院跡地(Kilmacduagh Monastic site, Co. Clare)の高さ34メートルのものですが、登ることが出来るラウンド・タワーの中では聖ブリジッド大聖堂のものがいちばん高いことになります。

オリジナルのタワーが崩れたため、12世紀に再建したもの。塔の上部は石造りのとんがり屋根ではなくノルマン風
ちょっと怖がるお客様を先導(扇動?笑)して、いざ塔へ。板の間で5階建てくらいに仕切られていたでしょうか。先細りになる塔内に設置された急なはしごを一段一段登っていきます。

こんな感じ。手すりがしっかりついているので、つかまって登れば大丈夫

無事に登り着き、塔のてっぺんから写真を撮るお客様。キルデアの平原が見晴らせます。この辺りは10000年前の氷河の移動で大掛かりに削られて一面平らになったエリア

塔の上から見晴らす大聖堂。きれいなラテン・クロス型
教会裏手にはファイヤー・テンプル(Fire Temple=火の神殿)と呼ばれる場所があり、ここが聖ブリジッドが建てたオリジナルの教会跡地。毎年2月1日の聖女ブリジッドの日には、ここで火をともす儀式が行われるそうです。

現存する石造りの囲いは1993年に再建したもの。囲いの中には聖女にちなみ女性しか入ることが出来ないとのこと。囲いの中には捧げものも見られました
教会内部を見学後、立ち去ろうとしたときに地元の人に呼び止められて教えられたのがこちら。
入り口近くの教会建物の角に2つの穴があいており、そこに手を差し込んで心臓部にふれながら願いを唱えると叶うと言われているのだとか。早速、お客様と皆でやってみました。

真剣に祈るワタシ(笑)。お客様が撮ってくださいました
内部には簡単な展示もあり。地元のコンサートなどに利用されるなど、キルデア・タウンの真ん中にあって人々に親しまれている身近な聖地です。
※ラウンド・タワーは5月1日~9月30日のみオープン。月~土 10:00-13:00 & 14:00-17:00、日 14:00-17:00 (最終入場は4:45) 有料(4ユーロ位だったと思います)
※大聖堂は常にオープンしていますが、10名以上のグループは事前に要予約。
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