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マルケヴィッチ伯爵夫人の銅像(ラスコーマック)

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軍服姿の闘うマルケヴィッチ伯爵夫人の像。ラスコーマックにて

スライゴ近郊のラスコーマック(Rathcormac, Co. Sligo)にある、1916年イースター蜂起で闘ったマルケヴィッチ伯爵(Countess Markiewicz、1868-1927)の銅像。
今年は2016年はイースター蜂起100周年。先日ご案内させていただいたお客様が興味を示され、スライゴの本屋さんでマルケヴィッチ伯爵夫人の生涯を描いた子供向けの英語の本をお買いになられたので、普段は通り過ぎてしまうことの多いこの銅像ですが、せっかくなので車を停めてご案内させていただきました。

ポーランド人の侯爵と結婚したため侯爵夫人と呼ばれる彼女ですが、本名はコンスタンス・ジョージーン・マルケヴィッチ(Constance Georgine Markiewicz)。旧姓はゴア・ブース(Gore-Booth)と言い、アングロ・アイリッシュの貴族のお嬢さんとしてスライゴ近郊の屋敷リサデル・ハウス(Lissadell House)で何不自由ない子供時代を過ごしました。
(ずい分前の記事ですが…→よみがえったリサデル・ハウス(スライゴ研修・最終)

結婚後は芸術活動をしながら、ダブリンで上流階級の暮らしをしていましたが、貧しい労働者階級のアイルランド人に共感し、次第に民主主義運動にかかわるようになります。自分のポケットマネーで食料を調達し、貧しい子供や若者のための無料の食堂を開いたこともありました。
イースター蜂起で処刑を免れた彼女は、のちに英国下院初の女性国会議員に当選、さらには1919年、アイルランド内閣の労働大臣に任命され、アイルランド初の女性大臣となりました。これはヨーロッパ初の女性大臣でもあります。
59歳という短命だったのが悔やまれますが(貧民院へ出入りして結核を患ったのが原因のようです)、革命の時代を闘いぬいた、慈悲深い女性闘士の一人として歴史に名を残しました。

私はいつも、マルケヴィッチ伯爵夫人のように、社会や時代の流れの中に自らを捧げる生き方をした女性のプライベートに興味があります。結婚とか、出産とか、子育てとか。どうやって両立させていたのだろうと。
そして最近思い当たったのですが、仕事とプライベートを両立…などという考え方は至って現代的であり、当時はそんな概念さえ成り立たなかったのかも。

マルケヴィッチ伯爵夫人には2人の子供がいて、上の男の子は夫の連れ子、下の女の子メイヴが実子。連れ子のことは可愛がったようですが、娘はリサデルの両親に預けっぱなしでしたので、成長するに連れて母親に反目し、縁が薄くなっていったようです。
夫は夫人が政治活動に没頭し始めた頃、ポーランドへ帰国。その後も連絡を取り合い、夫人の臨終に駆けつけてはいますが、2人が一緒に暮らしたのは結婚後の7年間のみでした。
彼女の場合、人生の後半は闘って投獄されて…を繰り返していたので、普通の家庭生活などは遠い日のこととなっていたでしょうが、この時代の女性としては相当な犠牲を払って自分の信念を貫いたということでしょう。夫も子供も捨てて、アイルランドの自由な未来のために身を捧げたのですから。

ちなみに詩人のイエーツは若かりし頃、リサデル・ハウスを訪ねては、ゴア・ブース家の2人姉妹と親しく交流していました。イエーツはその詩の中で、「シルクの着物を身にまとい、二人とも美しく、そのうちの一人はガゼルのようで…」(two girls in silk kimonos, both beautiful, one a gazelle)と詠んでいます。(ガゼルを思わせる容姿だったのは、長女のマルケヴィッチ伯爵夫人の方)
19世紀後半のスライゴのお屋敷で身につけられたシルクの着物。一体どのようなものだったのか興味深いですね。上流階級の女性の部屋着としてのガウンのようなものだったのでしょうか。

あれこれ想いは広がりますが、昨日4月24日がイースター蜂起勃発からきっかり100周年に当たる日でしたので、蜂起のリーダーたちのことをあれこれ考えていてマルキヴィッチ侯爵夫人に思い至った次第です。

ちなみにマルケヴィッチ伯爵夫人の像はダブリンにもあります。ひとつはタウンゼント・ストリート(Townsend Street, Dublin2)にあるMarkiewicz Leisure Centreと名付けられた室内プールのあるジムの前。消防署の裏です。こちらは軍服ではなく、平装のマルケヴィッチ伯爵夫人が愛犬Poppetと一緒に立っています。
もうひとつはセント・スティーブンズ・グリーン(St Stephen's Green, Dublin2)内。こちらは胸像です。

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ラスコーマックの銅像前にて。ベンブルベンの見える景色をカメラに収めるお客様

コメント

イースター蜂起

アイルランドの美味しい苺が楽しみの一旅行者ですが、今年都内では、公開講座と大学2校のオープンカレッジでイースター蜂起を取り上げます。私も疑問を持っている事があるので参加します。遠く離れた日本で関心を持つ方が多い事に驚いています。

Re: イースター蜂起

アイさん、コメントありがとうございます。日本でもイースター蜂起に関心をお持ちの方がいらして嬉しいです。
アイルランドでイチゴ摘みにご案内させていただける日を、楽しみしています♪

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。2000年よりアイルランド在住。アイルランドでの生活、ガイド業を通してのさまざまな体験を皆さんと共有できたら嬉しく思います。最近の趣味はサーフィンとバラ栽培♪

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