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アイルランドの投票率、高いか、低いか?

googlegeneralelection2016
Googleも投票♪ 本日のアイルランドGoogleの待ち受け画面です(立て看板にはアイルランド語&英語で「投票しましょう」と書かれています)

本日アイルランドは、総選挙投票日。
このところ夕方になると、選挙運動中の立候補者や支援者がビラを持ってたくさん訪ねてきていました。私は選挙権がないので(アイルランド人&UK在住者のみ)、「投票できないけど、グッドラック!」と言ってお帰りいただくことになってしまっていましたが。

今回は選挙運動期間も短かかったことですし、もっと関心を持ってテレビのディベートなどちゃんと見れば良かったのですが、あっという間に投票日になってしまい、今になってニュースを聞きかじっています。

generalelection2016
「内輪もめ(Civil War)政治の終焉か!?」と報じる本日のIrish Independentより。2大政党それぞれの党首も投票。向かって左がフィナフォール(共和党)党首ミホール・マーチン、右が現与党・フィナゲール(統一アイルランド党)党首のエンダ・ケニー首相

ちなみに、アイルランドの投票&開票方法は「単記移譲式」と呼ばれる少々複雑なシステムで、当選して欲しい順に候補者前の横に1、2、3…と番号を付けます。(当選して欲しくない候補者は空欄にしておく。×をつけたりすると無効になってしまうので、大切な一票を無駄にしないようにしましょう、と呼び掛けている議員さんも)
この「単記移譲式」については5年前の総選挙の時にちらりと紹介させていただきましたので、ご興味のある方はこちらをご参照ください
アイルランドは総選挙です/14年ぶりの政権交代で盛り上がった前回の総選挙について→総選挙の結果と…新首相の横顔

ところで、日本は先日の衆議院選の投票率52%、戦後最低の数字…と報じられましたが、アイルランドの投票率は前回2011年の総選挙が70%。昨年5月の同姓結婚の是非を問う国民投票は60%でした。
日本と比べるためか、アイルランドは投票率が高いという認識を私は持っていたのですが、先日友人たちと選挙の話になったとき、「まったく我が国は投票率が低くで困ったものだ」とみんなが口々に言うので驚きました。
「そんなことないよ、日本は50%切りそうになって民主主義の危機なんだよ」と反論すると、「アイルランドはもっと低いに違いない。40%くらいなんじゃないか?」、「いやいや、もっと低いに違いない」などと言うではありませんか。
こういう議論が起こると、Googleに聞きましょう、とすぐその場で調べるアンマリーが前回総選挙は70%!と伝えると、「え~っ、信じられない!」とみんなびっくり。
どうやらアイルランド人は、自分たちは政治に関心が低い国民である、と思っているようなのです。

確かに日本やアメリカに比べるとヨーロッパは全体的に投票率が高いので、比較の問題として「低い」と感じるのかもしれません。
イギリス、アイルランドは60~70%の間で同じくらいですが、スウェーデンなど北欧諸国は80%を超える国も。フランスは60%を切るようですが、ドイツは70%強、イタリアは義務投票制により75%。ベルギーは投票しないと罰金なので、90%近い投票率です。
高いと思うか、低いと思うかは、まあ、比較の問題…といったところでしょうか。

私の印象では、誰に入れたらいいかわからない、などと言いながらも、通常の社会人といった風のアイルランド人は9割がた、「国民の義務」として投票に行っていますね。私の友人はどちらかというとアナーキーなタイプが多いですが、それでも投票には当たり前のように行っている…。
日本だと(私も含めて)、誰に入れたらいいかわからない、自分が入れても入れなくてどうせ変わらない、じゃあ行かなくてもいいや~、となってしまうのはなぜなんでしょう。民主主義国家に生まれたからには、税金収めると同じように「国民の義務」と考えるべきなんでしょうが、日本の若い世代は政治も国家も他人事みたいですよね、なぜか。(私も20代どころか、30代になってもそうでした)

思うに、アイルランドのような人口が少ない小規模の国では、政治家とも距離が近いし(親戚縁者に関係者がいる、街やパブで大臣や議員に行き会う、など)、国内で起こっていることを見通しやすいので、政治にも関心が向きやすい気がします。自分も国家運営の歯車のひとつとして必要な存在である、という帰属意識が自然に生まれやすいのではないでしょうか、なにせ450万人しかいなんですから。外国人の私でさえ、長く住んでいるそういう気になってきます。
すると、一票の重みも感じやすい。日本だと1億2000万分の1だけど、アイルランドだと450万分の1ですから。(実際には有権者数で考えるべきですが、まあ、ざっくりと)

以前にご案内したお客様が、「いいなあ、人口450万人なんて。このくらいの規模の国なら、首相になるのも面白そうだねえ。ひと県まとめるくらいだもんね、僕もやってみたいなあ」とぼそぼそおっしゃっり、大笑いしたことを思い出しました。
私だったらアイルランドでも多すぎてまとめられそうにないので、アイスランドくらいでしょうかね、やってみたいとちょっと思うのは(笑)。面積はここより広いけど、人口は32万人オンリー。ダブリンよりずっと少ない!(ちなみにアイスランドの投票率はスウェーデンと並んで85%、小さい国万歳!)

開票は明日ですが、単記移譲式は時間がかかるので結果が出るのは早くて明日夜から日曜日となるようです。

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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