
アイリッシュ・ウィスキー造りでお馴染みのポットスティル(単式蒸留釜)。3回の蒸留を行うのがアイリッシュ・ウィスキーの特徴です(スコッチは2回、バーボンは1回)
昨年ダブリンに新しくオープンしたウィスキー蒸留所、ティーリング(
Teeling Whiskey Distillery, Newmarket Square, Dublin 8)のツアーガイド向けの見学会があり、参加してきました。
そもそもウィスキーはアイルランドの発明品で、6世紀にアイルランドの修道院で発明されたというのが定説。その語源はアイルランド語のUisce beatha(ウィシュケベァハ)、「命の水」の意味です。
かつてはそれこそ地酒のように各地に蒸留所があり、19世紀にはダブリンだけで37のウィスキー蒸留所があったそう。時代の流れとともに徐々に閉鎖され、アイルランド島内で稼働しているウィスキー蒸留所は長い間、アイルランド南部のミドルトンと北アイルランドのブッシュミルズ2か所のみでした。1980年代にクーリー蒸留所がオープン、2007年にキルベッガン蒸留所が再稼働するなどして、現在は10か所を超えるまでに増えましたが。
そんな中、ティーリングも、ダブリン唯一の「実際にウィスキーを生産している」蒸留所として2015年にオープン。(有名なダブリンのジェイムソンは「旧」蒸留所で、現在は博物館。製造はミドルトンで行っています)ダブリンに新しいウィスキー蒸留所が出来たのは125年ぶりだそうです。
ティーリングの実際の創業は1782年ですから、正確には再オープンというべきでしょうね。一度は閉鎖した蒸留所が、時を経てリニューアル・オープンしたというわけです。

ティーリング・ウィスキー蒸留所全景。聖パトリック大聖堂、ギネスストアハウスなどから徒歩圏内、
私たちがよく行くカフェのあるダブリン生協マーケットのお隣りです

蒸留所のガイドさんから説明を聞く私たちツアーガイド
ひと通り製造方法を追って蒸留所内を見学したあと、お楽しみは試飲。ティーリングでは入場予約の際に3パターンの試飲から選ぶようになっており、それによって見学料金が変わります。
試飲2種類14ユーロ、試飲3種類(「トリニティー・テイスティング」と呼ばれ、いちばん人気)20ユーロ、ヴィンテージを含む3種類30ユーロ。私たちに用意されていたのは、いちばん人気の「トリニティー・テイスティング」でした。

ズラリと準備された3種類のグラス…!
シングル・グレイン、ティーリング定番のSmall Batch(ブレンド・ウィスキー)、シングル・モルトの3種類を順番に試飲するのですが、興味深かったのはシングル・グレイン。
現代のアイリッシュ・ウィスキーの多くはグレイン(穀物。通常はモルティングしていない大麦)とモルト(麦芽=モルティングされた大麦)をミックスしたブレンド・ウィスキー。シングル・モルトは麦芽オンリーのもので、スコッチ・ウィスキーなどでよく聞きますよね。
ところが、穀物オンリーのシングル・グレインというのはアイリッシュ・ウィスキーの異端。飲んでみるとエッジの効いたスパイシーな味わい、万人受けする味ではないでしょうが、私は結構好きでした。
ジョニー・ウォーカーなどバーボン好きの人は、このシングル・グレインがしっくりくるかもしれません。
施設内にはカフェ(7:00~17:00)、ショップがありますが、どちらもなかなかお勧めです。
カフェでは遅めのランチにスープをいただきましたが、本日のスープはモロッコ風ヒヨコ豆のスープで、添えられたブラウンブレッドも含め、満点のお味。地元の人もランチやお茶に立ち寄っているようです。
ショップ(上階)はウィスキーはもちろん、ウィスキーにまつわる気の利いた本やグッズもあり、お酒好きの人へのお土産やプレゼントに使えそうです。

アイルランドの若者にはちょっとオヤジ臭いイメージになっていたウィスキーですが、最近再ブームなのでしょうか。または海外マーケットを意識して再燃しているのかもしれません
ダブリンの新しい観光名所となりつつある、ティーリング。日本では手に入りくい銘柄をお探しの方、ダブリン観光の合間にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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