キャサリン妃の第二子出産で注目の英国王室ですが、アイルランドでは今月下旬にチャールズ皇太子がアイルランド西部を中心に公式訪問することが決まり、話題となっています。
Irish Independent 5月8日の記事より
訪問は5月19~22日の4日間の予定。1995年の初訪問以来何度かアイルランドを訪れているチャールズ皇太子ですが、カミラ夫人を伴いお二人ご一緒に訪問するのはこれが初めです。
昨日詳しい旅程が発表されたので、簡単にまとめてみました。
1日目 ゴールウェイ空港到着 ゴールウェイ大学でのレセプションに出席後、海洋研究所とバレン(
Burren, Co. Clare)訪問 (その間カミラ夫人は地元小学校を訪問) 夜は
Lough Cutra Castleにてアイルランド大統領夫妻とプライベート・ディナー
2日目 スライゴ訪問 市内のアートセンター、モデル(
The Model)にて市民主催の歓迎会に出席後、
W.B.イエーツ生誕150年を記念して墓所のあるドラムクリフ(Drumcliff)を訪れ、イエーツのお墓参り&聖コロンバ教会で礼拝に参列。その後、ルイ・マウントバッテン卿が殺害されたマラクモア(Mullaghmore)を訪問し、地元の人々と面会。夜はスライゴ・レース見物
3・4日目 北アイルランドへ ベルファースト、ヒルズボロ城(Hillsbrough Castle)でのレセプションやコンサートなどに出席。コリメーラ・コミュニティー・センター(Corrymeela Community Centre 北アイルランドでいちばん最初に始まった和解プロジェクト推進センター。今年で50周年)も訪問
…とダブリン抜きの、アイルランドの西海岸中心の訪問。それもアイルランドの自然や環境(ゴールウェイの海洋研究所、バレンなど)、歴史や文化遺産(イエーツの墓所など)に興味を示してくださっているのがよくわかり、嬉しい限りです。
アイルランド西部は今盛んにワイルド・アトランティックウェイ(Wild Atlantic Way=全長2500キロの世界最長の海岸道路)の観光誘致に力を入れていますから、そのプロモーションにもなりますね。
(関連過去ブログ:
世界最長の海岸道路、ワイルド・アトランティック・ウェイ、来春オープン!)
バレンやイエーツの墓所は、日本から観光にいらっしゃるお客様にも人気の観光地ですので、アイルランドに来たことのある方の中には私も訪れた!という方も多いことでしょう。
中でもアイルランド側のメディアが特に注目しているのが、チャールズ皇太子のマラクモア訪問。
ここは皇太子の大叔父にあたるルイ・マウントバッテン卿(Lord Louis Mountbatten, 1900-1979)が、1979年8月27日にIRAによって殺害された場所です。北アイルランド紛争のさなか、国境に近いこの地は英国王室関係者には危険であると考えられていましたが、ひなびた漁村のたたずまいや村人との気さくな交流を好んでいたマウントバッテン卿は気に留めず、休暇にこの地をしばしば訪れていました。
ある朝ヨットに乗ってマラクモアの波止場を出航した直後に、IRAによりエンジンに仕掛けられた爆弾が爆発。マウントバッテン卿は即死、同乗していた14歳の孫と、15歳の地元の少年も命を落としました。

近年、大波のサーフィンで知られるようになったマラクモアは大西洋を見晴らす小さな半島。マウントバッテン卿が滞在した丘の上のクラッシーボウン城(Classiebawn Castle・遠景)は卿の夫人が相続した19世紀の館。現在は個人の所有ですが、マラクモアのランドマークとしての様子は変わらず(2015年3月撮影)
マウントバッテン卿を敬愛していたチャールズ皇太子は、当時この事件に大変心を痛めたそうです。
今回のアイルランド西部訪問の目的のひとつは、敬愛する大叔父へ慰霊訪問でもあるのでしょう。地元の人々にとっても、王室関係者が事件の現場を訪れることが大きな慰めになるのではないかと思います。
マラクモアは私もサーフィンなどでよく行く場所のひとつ。スライゴではマラクモアのお隣りのクリフォニーに滞在することが多いので、よく知ったビーチや散歩道にチャールズ皇太子が来る!といった気分でなんだか親しみがわきます。
(マラグモア関連過去ブログ:
新たなビッグ・ウェイヴ、「プローラーズ」、
観測史上最大の大波、
スライゴ滞在中のウォーキング・コース(クリフォニー~マラクモア))
北アイルランドでは
以前に日本の高校生のグループさんをご案内したことのあるコリメーラ・センターを訪問されるとのこと。北アイルランド問題への懸念や、和平・和解ということも今回の皇太子の南北アイルランド訪問のテーマのひとつのようです。
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