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スタッファ島、「フィンガルの洞窟」

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「フィンガルの洞窟」をバックに。今回の旅に同行してくれた、K子さんと一緒に♪

アイオナ島へ行くにあたり、もう一箇所どうしても見ておきたかったのがこちら、北アイルランドの名所・ジャイアンツ・コーズウェイ(Giant's Causeway, Co. Antrim, Northern Ireland)のスコットランド版・・・とでも言うべき、スタッファ島(Isle of Staffa, Scotland)の「フィンガルの洞窟(Fingal's Cave)」。
周遊ツアーのご案内でこれまでに数え切れないほどご案内してきたジャイアンツ・コーズウェイですが、コーズウェイの説明をするには、対岸に位置するこのスタッファ島なしで語ることは出来ず、いつか行ってみたいと思い続けていた場所のひとつです。

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ボートでスタッファ島へ。ジャイアンツ・コーズウェイではこうやって海から見ることはないので、その迫力に感激!

六角形の柱が海からにょきにょき生えているかのように見える不思議な景観。伝説では、アイルランドの巨人フィンマックールにより作られたとされています。

対岸のスタッファ島に住む巨人ベナンドナーと、海を挟んで常に敵対していたフィンマックール。ついに果たし合いをすることになった2人の巨人は、海上に柱を埋め立てて土手道を築きながら、互いの地へと一歩一歩、歩み寄って行きました。
ところが、ベナンドナーの大きな足音を聞いたフィンはすっかり怖気づいてしまい、妻ウナの待つ家へと逃げ帰ってしまいます。賢いウナは「私にいい考えがあるわ」とフィンに赤ん坊の服を着せ、巨大な揺りかごに寝かせます。
海の中の土手道を通ってフィンを訪ねて来たベナンドナーは、赤ん坊のサイズを見てびっくり! これが赤ん坊なら、父親のフィンは何十倍も大きいはず…と、恐れをなしたベナンドナーは一目散にスタッファ島へ逃げ帰ってしまったそうな。

これが、ジャイアンツ・コーズウェイ(巨人の土手道)の名の由来です。海上の道はフィンが追ってくることがないようにベナンドナーが壊してしまったため、アイルランド&スタッファの両海岸沿いにのみ残った・・・というわけですね。

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アイオナ島またはモル島出発のボートツアーで見学。島の高台から見晴らすボート乗り場、小さな島へ次から次へとお客さんが到着

上記の伝説のお話とは別に、地質学的には、6000年前にこの地で起こった火山活動により形成された「柱状節理」の好例である・・というのが、その説明。
今から1万年前に最後の氷河期が終わり、氷河が溶けて海水面が上昇したことによりアイルランドとブリテン島が分離され、両海岸沿いに奇岩が残ることになったのでした。

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ジャイアンツ・コーズウェイの「パイプオルガン(こちらに写真アリ)」を彷彿させる景観。見事な垂直の石柱群です!

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こんな角度で見るとコーズウェイそっくり。実際には、ひとつひとつ柱のサイズがコーズウェイより大きめでした

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こんな斜めの柱も面白い・・・

スタッファ島の柱状節理のいちばんの見どころは、海面に出来た洞窟。これはジャイアンツ・コーズウェイにはないものです。(パイプオルガンの中がえぐれているけれど、海には面していません)
スコットランド神話の主人公の名をとって、「フィンガルの洞窟(Fingal's Cave)」と呼ばれますが、フィンガルとはアイルランドで言うところのフィンマックールのにスコットランド版のようです。
(フィンガルは巨人ではありませんが、両国の神話の登場人物、ストーリーは似通っています)

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侵食により形成された見事な海食洞

ちなみに、スタッファ在住であるはずのベナンドナーの名はどこにも出てこないのが気がかり。アイルランドで伝えられている神話によれば、ここは「ベナンドナーの洞窟」であってもいいと思うのですが(笑)。

この神秘的な洞窟に感銘を受けて、19世紀の作曲家メンデルスゾーンが『フィンガルの洞窟』という演奏会用序曲を書いたのは有名な話。
1830年に発表されたこの曲は、スコットランドを旅行中、嵐の夜にスタッファ島にたどりついたメンデルスゾーンがこの洞窟で霊感を受けて完成したのだそうです。実際の洞窟に入ってみると、確かに霊的なものが降りてきてもおかしくない感じ。

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神秘的な洞窟内部。スコットランドを代表する小説家ウォルター・スコットいわく、「いままで聞いたどんな描写をも超えていた」・・・

ジャイアンツ・コーズウェイへお客様をご案内するたびに、何十回となく口にしてきた「スタッファ島」。
これまで世界のいろいろな場所へ行きましたが、ここは本当に素晴らしく、一見に値する場所でした。コーズウェイは海へ向かって敷石が敷き詰められている・・・といった感じですが、こちらは海から直接、高い柱がにょきにょき突き出していて迫力満点。

これまでずっと、「善光寺は参拝したが、北向観音はまだ・・・」といった「片詣り」気分だったので(←思いつくのはやはり信州ネタ。ローカルな話でスミマセン)、ついに両者への参拝(!)が完了し、スッキリしました(笑)。

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通りすぎるヨットと奇岩。ちらりと見えている島がアイオナ。これ以上ないくらいの素晴らしいお天気でした♪

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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