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聖コラムキルの浜辺にて(アイオナ島・その1)

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アイオナで夏休み♪ 聖コラムキルが上陸したと言われる浜辺、セント・コロンバズ・ベイ(St Columba's Bay)にて

ダブリンから計8時間のドライブと、3度のフェリー。あ~遠かったけれど、素晴らしかった!
往復にほぼ丸一日ずつかけて、スコットランドの小さな島、アイオナ(Isle of Iona)へ行ってきました。

一度は行ってみたい!と思い続けていたアイオナ島。ダブリンのトリニティーカレッジ所蔵の有名な『ケルズの書』はそもそもこの島で作成されたものです。
書が作成された800年頃はバイキングの活動が激しく、アイオナの修道院もバイキングに襲撃され、68名の修道士が殺された・・・と記録にあるそうです。生き残った修道士たちがまだ未完であった書を持って、小舟に乗ってアイルランドへ逃げてきて、ケルズ(Kells, Co. Meath)で完成したため『ケルズの書』と言います。

これまでお客様をご案内して、何百回となく見てきた『ケルズの書』。「スコットランド沖合のアイオナ島で作成され・・・」と毎回説明しているうちに、まだ見ぬこの地への思いがつのり、毎年夏になると「アイオナへ行きたい~」と思い続けていました。
道中長いため1日、2日で行くことができず、なかなか実現できなかったのですが、今回、仕事の合間の短い休暇に予定を埋め込むようにして、えいや!と思い立って行ってきました。

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対岸のマル島(Isle of Mull)からフェリーで約10分。海から見るアイオナの町並みやアイオナ・アビー

なんと、日中26度という、こちらでは珍しいような真夏のお天気に恵まれてアイオナに上陸。
まずは『ケルズの書』が書かれた修道院へ・・・と思っていたのですが、あまりの暑さにとにかく海へ入りたくなり、修道院見学は後回しにして、聖人コラムキルが上陸したと言われるセント・コロンバズ・ベイ(St Columba's Bay)へ泳ぎに行くことに。
(コラムキルはアイルランド語の名前で、その英語名がコロンバ)

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島の南西側にあるセント・コロンバズ・ベイは、港のある村から歩くこと約1時間。途中のクラフト・ショップで行き方を教えてもらい、羊の歓迎を受けながら(!)、ゴルフ場の中の道なき道をえんえん歩いて行きました

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登ったり下ったり、湖の脇を通って、シダの葉が茂る草地を超えて、ついに見えてきたセント・コロンバズ・ベイ!

521年、アイルランド北西部のドネゴールで生まれた聖コラムキルは、デリーやドラムクリフなどアイルランド各地に修道院を創始。さらに小舟に乗ってスコットランドへ渡り、アイオナを拠点としてキリスト教を布教しました。
アイオナの守護聖人であり、アイルランドでは聖パトリック(アイルランドにキリスト教を伝えた聖人)、聖ブリジッド(アイルランド初の女子修道院を創始した聖人)と並ぶ3大守護聖人のひとりにその名を連ねています。

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アイオナ修道院内部にある聖コラムキルのステンドグラス

コラムキルがどのような経緯でアイルランドをあとにしたのかは、諸説あるようです。部族同士の戦いに巻き込まれて島流しにあったのか、自らの選択でスコットランドにキリスト教を広めるためにやってきたのか。
いずれにしても、アイルランドにいちばん近い(とは言っても直線距離で100キロ位ありそうですが・・・)南西のこの浜に到達したと言い伝えられているようです。

コラムキルの上陸地は砂浜だと勝手に思い込んでいたのですが、たどり着いたののは石ころだらけの浜でした(笑)。
結構な岩場でもあり、石と岩に気をつけながら、泳いだり、岩の上で寝そべったり。

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こんな岩だらけのところに舟をつけるのは大変なことだったでしょう

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離れ岩に泳いで到達。平らな岩の上に寝そべると、岩が熱々になっており、天然のストーンセラピーでした(笑)

あとで島のヘリテージセンターを見学して知ったのですが、アイオナは石が豊富で、この浜にはアイルランドのコネマラ・マーブルに似た緑色の石や、ピンクの片麻岩など、きれいな石がたくさんありました。
なんだかその石ころから、エネルギーがたっぷり出ているようで、土地の空気がとても軽い感じがしました。

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聖コラムキル上陸の地を見晴らす場所に誰かが作った、アイオナのホワイト・マーブルのケルト十字

この浜辺、空気も風も、海水さえも「サラサラ」した感じ。
あまりにも楽しく、幸福で、夕食の時間を忘れて長い時間浜辺にいてしまったのですが、お腹が全くすかない。もしかして、昔の修道士たちはこういう気持ちだったのではないでしょうか。
五感が自然の恵みで満たされると食欲はなくなってしまうのかも?・・・とちょっぴり聖者の気分を味わうことが出来た、聖コロンバ上陸の地でした。

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コメント

miwako

セントコロンバ・・・と言えば、ジョナス・ブレイクが通っていた神学校の名前だわ~。とアンオタクが炸裂(笑)
そういう名の学校があるのか、モンゴメリの創作なのか?
なにはともあれ聖地探訪、ウラヤマシイぞ!

Pearl

五感が満たされると食欲が無くなるの?!
そんな状態に一度でいいからなってみたいものです。
素敵なところね。

naokoguide

miwakoちゃんへ
さ、さすが、miwakoさま!!!
コロンバという聖人はふたりいるので、ジョナス の学校がどちらのコロンバなのか調べてみなくては!
ともあれ、アンで歩くアイルランド...にまた一つ項目が加わりました♪

naokoguide

pearlさんへ
食べるとか、眠るとかいったことがいらない感じ♪
岩の上で太陽の光を浴びて寝そべっていたら、携帯電話を充電するみたいに、エネルギーが体にチャージされていきました(笑)。

非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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