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アイルランド伝統の紅茶、キャンベルズ・パーフェクト・ティー

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ゴールデン・イエローの缶がトレードマークの「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」。上にのっている小さめの缶は1940年代のアンティーク

日本でアイルランドの紅茶を輸入・販売しておられるTEA & TREATS(ティー・アンド・トリーツ)さんの代表の方をご案内して、紅茶の会社へ行ってきました。
アイルランドの紅茶というとバリーズ・ティーやビューリーズが最初に思いつきますが、TEA & TREATSさんが扱っておられるのは「キャンベルズ・パーフェクト・ティー(Cambell's Tea)」という、アイルランドでも知る人ぞ知るこだわりの紅茶。実はバリーズやビューリーズよりも古い、230年もの歴史ある紅茶なのです。

まずはオフィスへ伺う前に、担当の方々と一緒にキャンベルズの紅茶を出している市内のカフェにて朝ごはん。
カジュアルな雰囲気の中、この紅茶メーカーの歴史や成り立ちをお話いただきました。

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たっぷりのアイリッシュ・ブレックファーストと、どこに置いても絵になるレトロな雰囲気の黄色い缶。「パーフェクト(Perfect=完璧な)」であることを誇るキャンベルズ・ティーですが、缶に書かれた「Perfect」の文字がちょっと控えめに斜体なのが微笑ましくて、好き(笑)

キャンベルズ・ティーの創業は1780年頃、ダブリンがジョージ王朝のもと、ロンドンに次ぐ第2の都市として栄えていた華やかなりし頃にさかのぼります。
メイン・ストリートのオコンネル通り(当時はサックビル通りという名でした)に大きな店を構えていたキャンベルズ・ティー・カンパニーは、19世紀になると紅茶の他に、ワインや各種食料品、毛織物の取り引きも行う一大商社に成長していました。繁栄期のオーナー、ジョン・キャンベル(創業者ジョージの息子)は、ダブリン市長を2度務めるほどの名士となり、歴史にその名を残しています。

ところが20世紀初頭、独立の混乱期に店の建物が被害を受け、1922年の内戦のさなかに、社屋はついに破壊されてしまいます。紅茶の普及と共に新しいメーカーも多く誕生する中、生き残りをかけての苦しい時代が続きました。
1950年代にキャンベルズ・ティーは、同じくダブリン発祥の別の紅茶メーカー、ロバート・ロバーツ社(Robert Roberts)の傘下に入り、創業以来の伝統と味を守り続けています。

では、実際にどのようにして「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」の味とクオリティーが維持されているのか、マスター・ブレンダーのギャレスさんがオフィスでその方法を見せてくださいました。

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紅茶のテイスティングを行うギャレスさん。スプーンにすくったティーを音をたててすすり、口の中全体で味わうのだそうです

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ケニアから届いた高級茶葉のサンプルをこのようにして比べます。この明るい赤褐色が「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」の特徴。ほんの少しだけ色が暗く出たものは失格(いちばん奥)

ギャレスさんの舌を満足させた合格品を飲んでみると、それはそれはおいしくてびっくり。大げさなようですが、これまで私が飲んできた紅茶の概念を打ち破るおいしさでした!

一般に紅茶の賞味期限は2~3年であることが多いそうですが、キャンベルズ・ティーは1年半。茶葉の鮮度へのこだわりが感じられます。
ギャレスさんいわく、もしも自分が賞味期限を決められるのであれば、3ヶ月にしたいくらいだそう。

ギャレスさんのまるで職人芸といわんばかりのテイスティングに驚き賞賛したあとで、今度は工場を見せてもらってさらにびっくり。
なんと、茶葉を缶に入れてフタにセロハンテープを貼る作業は、すべてひとりの人の手作業で行わていました。

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山積みの黄色い缶。写真右で女の子が茶葉の缶詰め&セロハンテープ貼りをしています。一日に平均400個詰めるそうです・・・

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ケニアから届いたばかりの茶葉。「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」は茶の木のいちばん上の、日光・雨・風にいちばんさらされた最高級の茶葉を使用しています。袋に記された「KTDA」とは「Kenya Tea Development Agency(ケニア茶業開発機構)」の略。ケニアのモンバサで毎週行われるオークションで生産者から茶葉を買い付け、世界各国に配送する会社です

伝統の味と品質を守ることを第一としているキャンベルズ・ティーは、大量生産で売り上げを伸ばすことよりも、こだわりのある人のための「スペシャルな紅茶」であることを大切にしているようです。

そのポリシーに共感して、日本で最初&唯一の「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」の代理店となったのが、今回ご案内させていただいたTEA & TREATSさん。
代表の奥田さんは、輸入を始めるずっと以前からキャンベルズ・ティーの大ファンで、ロンドンの小売店からわざわざ買いつけて自家用に飲んでおられたそう。その味、こだわり、でも決して高級すぎず、日々の暮らしに合ったカジュアルな紅茶・・・というスタンスに魅力を感じ、日本でもそのおいしさ&良さを知ってもらいたい!という想いから輸入・販売を始められたそうです。

アイルランド伝統の味が、それを大切にしてくださる方の手によって日本へ届けられていると思うと、とても嬉しいです。
「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」をご家庭で楽しみたいとう方。ぜひTEA & TREATSさんのHPをのぞいてみてくださいね。→こちら(おいしい紅茶の入れ方なども参考になります)

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工場内のコーヒーのセクションの片隅にさりげなく積まれていた黄色い缶。コーヒー豆の仕分けにも便利(笑)


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コメント

miwako

輸入会社のHPから、市内で入手可能と知り、
今日、外出ついでに、ついに、買ってきました。

500グラム缶って大きい~!すごい迫力~!
レトロ柄も素敵。黄色も好き。
もちろん自宅に各種紅茶葉は揃っているけれど、
ケニアは無かったし、ワリと好きなので飲むのが楽しみです。
実は最近コーヒー党から紅茶党に戻ってきていたの(笑)

缶を見ると、テープの貼り付けがいかにも手作業という感じだったので、レジ待ちしながらニヤニヤしてしまいました。
さて、大ぶりのカップも出さなくちゃ。

naokoguide

miwakoちゃんへ
miwakoちゃんの市内に販売店があるな~と思ってショップリストを見ていました。さすが、行動早い!
そう、500グラムは迫力ありますよね。私も4分間待って、きれいなゴールデンレッドの紅茶を飲むのが日課になってきました♪

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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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