長くダブリンに住んでいても、まだまだ未発見の名所があるものです。
先日ひょんなことから、ダブリンのシティーセンターからそう遠くない場所に中世の古城があることを発見。私の住む場所から車でほんの10分足らず、早速、見に行ってきました。

ドリムナ・キャッスル(
Drimnagh Castle, Dublin 12)。この辺りは頻繁に通る場所なのですが、メイン・ストリートから城が見えないため、これまでそこに城があることに全く気が付きませんでした
クリスマス前のこの時期、閉まっている可能性もあるため事前に電話で問い合せてみると、オープンしているとのこと。親切にも、私ひとりのために城の中を案内してくれました。

城を囲む堀。ドリムナ・キャッスルはアイルランドで唯一の、堀に今でも水が流れ込んでいる城です
13世紀初頭にイギリス貴族により築城されたドリムナ・キャッスル。かつてはダブリン・シティーの周りに多くの城がありましたが、時代が進むうちにさまざまな理由で壊される、もしくは建て直されしまい、昔のままの面影を残すものは数少ないのが実情。
幸運なことにドリムナ・キャッスルは、20世紀初頭までその時々の持ち主の居城として使用され続けてきたため、中世の城の様子をよく残しています。20世紀初頭に最後の領主となったハッチ(Hatch)一族が修復&増築、1950年代にカトリックの団体であるクリスチャン・ブラザーズの所有となり学校経営が始まるまで(今も城の周りは学校の敷地)、ハッチ一族の夏の住まい&家畜の放牧場として使用されていました。

中世から残る暖炉と、当時の領主の家紋

イギリス貴族のさまざまなしるしがデザインされた床タイル
1980年代以降、ドリムナ・キャッスルはFÁS(=An Foras Áiseanna Saothair/求職者のサポート&トレーニングをする国の組織。日本のハローワークのようなもの)により運営されています。
城の修復作業もFÁSのトレーニングのプロジェクトとして行われ、15世紀の見事なオーク材の天井がすべて手作業で修復されています。

グレートホール上階。ロスコモン産のオーク材が使用されています

貴族の城らしいデザインがほどこされたステンドグラス

オリジナルの天井も残されています
資金不足のため、城の修復は1996年にストップ。まだまだ修復が必要とされる部分が残っていますが、城は一般公開され、FÁSによってトレーニングされたガイドさんが城のガイドをしてくれます。
私を案内してくれたウィリーさんは2年前に職を失い、ここに来たそうです。城の案内をすることで地元の歴史に興味を持ち、ガイド業/観光業の方面で休職中とのこと。素晴らしい案内だったので、近いうちにきっと仕事が見つかることでしょう。
城は地元コミュニティーのイベントに使われたり(ハロウィーン・パーティーなど)、結婚式や各種パーティーのために貸し切ることも可能。さらにドラマや映画の撮影で使用されることもあり、数年前に人気を博したアイルランド&カナダ合作の歴史TVドラマ「The Tudors(2007~2010年に放送。ダブリン出身の俳優ジョナサン・リース・マイヤーがヘンリー8世を演じており、ロケはすべてアイルランドで行われました。日本語公式サイトは
こちら)」もその一部がここで撮影されました。
(ロケ地案内のサイトは
こちら(英語))

この部屋にジョナサン・リース・マイヤーがいたんだよ~、とウィリーさんが教えてくれました。早速、見直してみなくては・・・と家に帰ってすぐにアマゾンでDVDを注文(笑)
庭園も17世紀の様子に修復されており、夏はバラがきれいだそう。花の咲く季節にまた来てみたいものです。

古城につきものの幽霊ですが、ドリムナ・キャッスル内を今もって徘徊しているのは、悲恋の死を遂げたエレノア(Eleanora)嬢。敵対する一族の男性を愛してしまったエレノア。別の男性と政略結婚させられることになるのですが、その結婚式に向かう途中にエレノアの恋人が花婿を襲って結婚を阻止。捕らえれて殺されてしまった彼の墓場で悲しみにくれ死を遂げたエレノアの亡霊が、今もドリムナ・キャッスルでしばしば見られるそうです・・・
Drimnagh CastleLong Mile Road, Dublin 12.(同名の学校の敷地の中にあります)
Tel: 01- 4502530
月-木 9:00-16:00/金 9:00-13:00(週末は事前のアポイント要)
※シティーセンターからタクシーで20分程。入場料は大人4ユーロ(学生/グループ割引きあり)

冬晴れの気持ちのいい日でした♪
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