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セツコさんとメグミちゃんの話

人生には時として面白い「仕掛け」が隠されているようです。

私が「赤毛のアン」の愛読者であり、海外への憧れの原点がそこにあったことは、このブログでも折に触れてお話しているかと思います。(過去ブログ参照→『赤毛のアン』とアイルランド?アイリッシュだった…私のペンフレンド!など)
10代の頃から「赤毛のアン」愛好家の会に入っているのですが、当時中学生の会員は私ひとりでしたので、年上の「お兄さん」(はごく少数でしたけど・・・笑)、「お姉さん」たちに大変お世話になりました。
インターネットのない時代の話ですから、普段はお手紙でやり取り、イベントがあるとひとり上京し、大人の「お兄さん」「お姉さん」たちに混じって「アン」談義に参加させていただいていたものです。

そんな「お姉さん」たちの中にセツコさんという方がいらしゃいました。まるで物語の世界に出てくるような小柄で可愛らしい方で、年下の私に付き合って仲良くしてくださいました。
物静かな方だったと記憶していますが、何か他の人とは違う、特別なキラキラ光るものを持ったような方でした。冒険心の強い一面もお持ちで(アンの会の多くの方がそうであるように!)、やがて東京を離れ北海道へ農業体験に行かれ、それがご縁で地元の酪農家の方のところへお嫁にいかれたのでした。

セツコさんと最後にお会いしたのは私が大学生、もしくは卒業した直後くらいだったと思います。
アンの会の集まりか何かがあって、ちょうどお里帰りしていたセツコさんもいらっしゃっていました。ご結婚前と変わらず少女のような風貌のセツコさんでしたが、小さな女の子のお母さんになっていました。メグミちゃんという名の女の子がベビーカーの中ですやすや眠っていたのを今も覚えています。

さらに時が経ち、私はアイルランドへ。セツコさんにはすっかりご無沙汰したまま、何年も経っていたのですが・・・。

数ヶ月前のことです。この秋からダブリン市内の大学に留学されるという学生さんが、ブログにメッセージをくださいました。お名前はメグミさん。お母さんがその昔、私と知り合いだった・・・と書かれていました。
一体どなたのお嬢さんなのかしら、と思い、記憶の糸を手繰り寄せながらメールでお尋ねしたところ、なんとあの北海道へお嫁にいかれたセツコさんのお嬢さんであることが判明。
いつの間にやら時は経ち、あのベビーカーですやすや眠っていた小さな女の子が大学生になっていたのでした!

びっくりするやら、感激するやら。ご縁があるというのはこういうことで、思いがけない繋がり方をするものなのですね。

メグミさんが私のブログに行き着いたのはただの偶然ではなく、もともと海外に興味のあったメグミさんにお母さんが読んでみたら・・・と勧めて下さったのだそうです。そこからアイルランドへの興味が広がり、留学先に選ばれたとのこと。
さすが、私が当時どんなにか海外に憧れていたかをよく知るセツコさんならではのアドバイス。憧れが高じてこうなってしまったという、何よりの実例ですから(笑)。

思えばその昔、セツコさんたちアンの会の「お兄さん」「お姉さん」たちとの交流は、「赤毛のアン」の作品そのものと同じくらいに、私の成長過程において大きな影響を及ぼしました。
メグミさんが私のブログから海外への憧れをふくらませていったように、私もアンの会との関わりを通して海の向こうを見ていました。
美しい装丁の海外の本やレターセット、素敵な場所でのお茶、アンの故郷プリンス・エドワート島へ行った人たちから聞くさまざまな話・・・。信州の田舎で海外に憧れて暮らす10代の女の子にとって、すべてが夢の扉をたたくかのような出来事ばかりでした。

それから長い年月が経ち、今こうして子供の頃から憧れていた海外で暮らしているわけですが、それが結果として良かったかどうかは別として(笑)、私がしてきたことが次の世代の若い方に少なからず影響を与えているのでしたら、こうしていることにも何か意味があるのかもしれません。

ちなみにメグミさんとは、何回かのメールのやり取りのあと、昨日ついにお会いしました。
しっかりしたお嬢さんで、雰囲気がセツコさんによく似ていらっしゃる。あ~、20年前の私やセツコさんを見ているよう。
あの頃、人生を進んだ先にこんなにワクワクする再会が仕掛けられているとは、誰が想像したでしょう。ベビーカーで眠っていた赤ちゃんとダブリンで再会するとは(笑)。
懐かしかったり、嬉しかったり、本当に不思議で素敵な出会いをさせていただきました。

私のブログへメグミちゃんを導いてくださったセツコさん、ありがとうございました。

megumichan1213
メグミちゃんと一緒に♪

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コメント

Pear

セツコさん、お懐かしい!
北海道へお嫁に行かれた時の旦那様との馴れ初めを聞いた日のことを今でもはっきり覚えています。それにしても凄い偶然だね~。というか偶然なのかな。ずーっと前から決まっていたことのような・・・素敵な体験。

btst

はじめまして、btstと申します。
初めてコメントさせて頂きます。このお話は、いいお話ですね。何か、心温まる思いがしました。
私も、海外に住んでおりますが、今年、アイルランドを旅行いたしました。そのあと、アイルランドのとりこになってしまい、いろいろ検索し、ナオコさんのブログにたどり着きました。
しばらく、愛読させていただいております。
これからも興味深い投稿を楽しみにしています。

naokoguide

Pearlさんへ
そうなの、Pearlさん!本当に不思議なご縁…なのだけれど、ちゃんと決まっていた気がします♪
北海度にセツコさんに会いに行きたいですね!

naokoguide

btstさんへ
はじめまして、btstさん、コメントありがとうございます!
長い話なのに読んでくださり、ありがとうございます。嬉しいです。
今年のアイルランドは本当にお天気の当たり年でした。いい年にいらっしゃいましたね。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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