
アイルランド北西部の秘境スリーヴリーグ(Slieve League, Co. Donegal)は高さ300mの崖の名所。大西洋岸の手つかずの美しさを味わえる場所です(写真は
Wild Atlantic WayのFacebookページより)
昨年よりアイルランド政府観光庁により、アイルランドの大西洋岸の景勝地をひと続きに結ぶ全長2500キロのドライブ・ウェイをオープンさせるプロジェクトが進められています。
その名も「ワイルド・アトランティック・ウェイ(Wild Atlantic Way)」。アイルランド西海岸の野性味あふれる手つかずの自然をめぐりながら、ハイキングやサイクリングなどアドベンチャー、史跡、文化、歴史、食、人との触れ合いをテーマにすえた、世界最長の海岸道路です。
コースは、北はドネゴールの北端のイニシュオーエン半島から、南はウェスト・コークのグルメと歴史の港町キンセールまで。ドネゴール、スライゴ、メイヨ―、ゴールウェイ、クレア、ケリー、コークの、アイルランド西半分のコースト・ライン1400キロを網羅したルートです。

赤線がコースの骨組み。この道路沿いにシーニック・ルートなどがループして全長2500キロになるようです。詳しいルートマップをご覧になれたい方は
こちら(写真は
Failte Ireland - The Wild Atlantic Wayより)
新しいドライブ・ウェイがオープンすると言っても、新たに道路を建設するというわけではありません。
既存の道路を「ワイルド・アトランティック・ウェイ」の名のもとにひと続きに結び、観光客が走行しやすいよう道路を整備をしたり、大型バスを駐車して景色を眺められるようなヴューポイントを建設したり、新しい看板を立てたり…といったことが今後数年間かけて徐々に行われます。
オーストラリアのグレート・オーシャン・ロード、南アのガーデン・ルート、日本でよく知られるものではドイツのロマンチック街道などのような観光ルートを作ろうというわけです。

まず手始めとしてルート上にこのような看板を設置。今年の夏の終わりごろから各所でちらほら見かけるようになりました(写真は
Merrionstreet.ieより)
今年の春に発表された観光庁のプロモーション映像がこちら。大西洋のワイルドな美しさが強調されています。
約3分ほどの映像ですので、よろしかったご覧ください。
ちなみにこの映像、荒々しい波で始まり、短い中にサーフィンのイメージが3か所も出てきます!(38秒、1分59秒、2分5秒…)
そう、今や「波」「サーフィン」というのはアイルランド観光のひとつのアイコンとなっているのです。
サーフィンのみならずハイキング、サイクリング、乗馬、カヤック、ウィンドサーフィン…といった自然相手の「アドベンチャー」は、今後アイルランドでの観光シーンにおいてますます需要が高まってくるでしょう。
すでに欧米からの観光客には、アドベンチャー重視のツアーでアイルランドを旅する…というのがポピュラーになっており、以前にこのブログでも紹介させていただいたことがありました。(過去ブログ参照:
アイルランドでアドベンチャー!)
このワイルド・アトランティック・ウェイのオープンとリンクして、今後アイルランドの観光イメージはよりそちらの方面へ傾向していくのでないかと思います。
ただこの荒々しい波の映像や、アイルランドでアドベンチャー…というのは、これまで日本で紹介されてきたアイルランドのイメージとは少々異なっているかもしれません。
日本からいらっしゃる方々がお持ちのアイルランド像は「ほのぼのした緑の島」、もしくは「辛い歴史を逆境に生きてきた島国の民」的なもの。旅行会社が作成する観光ツアーも、そんなイメージを反映したものが多いように思います。
ワイルドな大西洋でアドベンチャー…というイメージが定着するにはまだまだ時間がかかるか、もしくは日本人の志向・感性とは結局合わないのかもしれず、そこのズレ…のようなものが、お客様を現場でご案内しながら時々ジレンマになる部分でもあります(笑)。
ワイルド・アトランティック・ウェイの正式なオープンは2014年3月の予定。
欧米からの観光客をメインとしたツアー会社では、来シーズンに向けて「ワイルド・アトランティック・ウェイ走破」をテーマにしたツアーをすでに作り始めています。ルート上で観光したり、アクティビティーしたりしながら、4~5日かけて走破するようなコースが一般的なようです。
日本でもアイルランド・ツアーの新コース案としていかがでしょうか?
ちなみに来年春にドライブ・ウェイがオープンするとは言っても、ご存じの通りアイルランドは国家が財政難ですから、整備にはまだまだ時間がかかりそう。ルート上に156のヴューポイントがマークされるそうですが、すべて整備が整うには今後5年から10年要するなんて話も…。
ただ、美しい大自然の景色はすでにここにありますから、「ワイルド・アトランティック」体験したい方はプロジェクトの完成を待たずにいつでもいらして下さいね♪

アイルランド人でさえもその美しさに息をのむアキル島(Achill Island, Co. Mayo)の景色(写真は
Wild Atlantic WayのFacebookページより)
- 関連記事
-
コメント
仙田
2013/11/19 URL 編集
naokoguide
2013/11/19 URL 編集