今回のTVロケは、子供を主役としたドキュメンタリー。ここ数日、さまざまな分野で活躍するアイルランドの子供たちを追いかけていますが、今日は子供が出場するボクシング大会の撮影に行ってきました。

リングの上でにらみ合う9歳の少年同士の対決。試合前にシュシュシュ…とシャドーボクシングしたりするチビッ子ボクサーの姿は、まるで「がんばれ元気」の世界そのもの!(笑)
アイルランドは小さい国ながら、さまざまなスポーツの分野で活躍しており、ボクシング競技もそのひとつ。
特にオリンピックではボクシングで多くのメダルを獲得しており、調べてみると、過去に獲得した合計28メダルのうち、16がボクシング競技によるものでした。
昨年のロンドン・オリンピックでアイルランド人の女子ボクサー、ケイティー・テイラーが金メダルに輝き、国中が熱狂したのは記憶に新しいところですね。
ケイティーの影響か、今は女の子のボクシング人口が増えているとのこと。昨日ダブリン郊外のボクシング・クラブへ撮影のためにおじゃましたのですが、トレーニングしている子供の約半数が女の子だったのにはびっくり。

クラブでのトレーニング風景。奥の2列は全部女子
今日の試合でも出場している子供の約3分の一は女の子でした。
試合を見ながらクラブの世話役の女性の方(クラブに女の子人口が増えたため女子の世話役が必要…ということになり、ボランティアに来るようになったそう)とおしゃべりしていたのですが、こんなことをおっしゃっていました。
「ボクシングをやっている子供たちの中には貧しい環境にある子供も少なくないのよ。ケイティーのおかげか、ドラックに手を染めたり非行に走ったりする代わりに、こうやって体を鍛えようとする子が以前より多くなったと思うわ」
かつては、貧しかったアイルランド人が移民先などで体を張ってのし上がっていく手段のひとつだったボクシング。よく知られた映画の中にもアイルランドとボクシングの関わりが多く登場しています。
永遠の名作『静かなる男』(1952年)の主人公ショーンはアメリカ帰りの元ボクサー。ディングルでロケをした『遥かなる大地で』(1992年)でも、アメリカへ渡ったトム・クルーズ演じる主人公がボクシングでのし上がっていく様子が描かれています。
ヒラリー・スワンクがボクサーを演じた『ミリオンダラーベイビー』(2004年)はアイルランド系アメリカンの話で、緑色のガウンの背中のアイルランド語「モ・クシュラ」が話題となりましたね。W.B.イエーツの有名な詩「Lake Isle of Innisfree(イニシュフリー湖島)」の朗読シーンもありました。
過去の厳しい時代から、アイルランド人が体を張って獲得していたもののひとつがこのボクシング。
ケイティー効果で、今や健康のため、ダイエットのため、さらには精神力を強めるためなど、さまざまな目的でクラブに来る子が増えているとのこと、平和で健康的な良い時代となりましたね。
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