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バラの花でちょっぴり英文学…セプタードアイル

この週末は約3週間ぶりのお休み。G8サミット、アランニット本の取材、北海道からのビジネス視察のグループさん…とおかげ様で3つの仕事が合い間なく連続し、怒涛の日々を送っていたのがようやく一段落しました。
まずは睡眠、家の片付け、花の手入れをして、久しぶりに街で友達と会い、ブランチして…と、2日間かけて普段の生活を取り戻しました。

その間も我が家のバラの花たちは絶え間なく咲きつづけていて、今年新たに仲間入りしたイングリッシュ・ローズのセプタードアイル(Scepter’d Isle)が美しい花をつけて迎えてくれました。

scepter’d isle0613
ずっと欲しかったこのバラ。今年は新しいバラは増やさないと決めていたのですが、数か月前にガーデンセンターで偶然に見かけて、迷わず購入。優しいペールピンクのカップ咲きが本当に愛らしく、英国で賞をとったというさりげなく甘い香りも控えめで素敵

バラの名の「セプタードアイル」とは、シェイクスピアの悲劇「リチャード2世」に出てくるよく知られるフレーズに因んで名付けられたもの。
リチャード2世の叔父であるランカスター公ジョン・オブ・ゴードン(John of Gaunt, first Duke of Lancaster)が死の床で述べるスピーチの始めの一説で、イングランドを賞賛するフレーズとしてしばしば引用される有名な語句です。

This royal throne of kings, this scepter’d isle, …=「王国の玉座にふさわしいこの島…(イングランドを指す。坪内逍遙・訳)」で始まる長いセリフの始まりの部分。
全文(英文)をお読みになられたい方はこちらをスクロールすると下の方に記されています。

リチャード2世は英国歴代の王の中でもとびきりハンサムでおしゃれ、ぜいたく三昧&浪費を繰り返し、国民から容赦なく税を取りたてるなどし、それが仇となって失脚・破綻してしまった王様です。
大貴族ランカスター公の死後、彼の遺産をすべて没収し、それを資金にアイルランド征伐(14世紀末)を行うのですが、皮肉にも王の不在中、かつて王により国外追放を言い渡されたランカスター公の息子ボリングブルック(のちのヘンリー4世)がイングランドに帰還、国を手中に治めてしまっていたのでした。
ああ、美しいバラの花にもこんなアイリッシュ・コネクションが。(あまり楽しいつながりではありませんが…)アイルランドを征伐している場合ではなかったのですよ、リチャード王…!

王座をめぐる戦いに明け暮れていた中世の貴族たち。セプタードアイル(玉座にふさわしい島)とはそんな時代の貴族たちの王権への終わりなき終着とイングランド賛美を象徴する語句であるのですが、その響きは耳に心地よく、さすがシェイクスピア、かつての歴史を水に流してアイルランド島賛美に変えて使いたいくらいに優美。

私の小さなコテージの軒先に咲くバラは多くがイングリッシュ・ローズで、英文学に因む名のバラは「ダーバヴィル家のテス(Tess of the d'Urbervilles)」に続きこれで2つ目。イングリッシュ・ローズは花を愛でるだけでなく、その名前を掘り返すのも楽しいのです。

久しぶりのお休み。バラを眺めながら、英文学の世界にひたって過ごし、幸せな気分です♪

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。2000年よりアイルランド在住。アイルランドでの生活、ガイド業を通してのさまざまな体験を皆さんと共有できたら嬉しく思います。最近の趣味はサーフィンとバラ栽培♪

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