
高さ250メートルの丘の上にあるリング・フォート(Ring fort=円形の砦)。砦内側のテラス&石段がきれいに保存されています
個人のお客様をご案内していて楽しいのは、その日のお天気やお客様のご興味に合わせて、予定外の場所へちょっと立ち寄ったり出来ること。
昨日は旅程に余裕があったので、デリーからドネゴールへの移動中、丘の上のリング・フォート、グリアノン・オイロック(Grianan of Aileach, Co. Donegal)へ立ち寄りました。

ふもとから車で細い道を上って行くと、直径約23メートル、高さ1.8メートルの砦が丘の上にバ~ンと現れます
砦へ至る道は細く、乗用車がやっとすれ違えるほど。大型バスで上るのは難しいので、訪れる観光客の数も限られています。
新石器時代の古墳があったとされる場所に、紀元前1世紀頃にケルト人が砦が建造。太陽信仰にまつわる儀式の場であったようで、グリアノン・オイロック(Grianan of Aileach)とは「太陽の石の家(Stone House of the Sun)」という意味だという説も。

砦の上からはさえぎる物なく、360度ぐるりと見晴らすことが出来ます。写真に見えるのはアイルランド最北の岬のあるイニシュオーエン半島(Inishowen peninsula)とスウィーリー湾(Lough Swilly)、フォイル湾(Lough Foyle)

ケルト神話ではダナン一族の王デグダ(Deghda)が、息子の墓を守るために建てたとされ、中央には王の息子Aeahの墓があるとされています
キリスト教が伝えられ、ケルトの儀式が徐々に行われなくなると、砦はアルスター王国の王座にとって代わります。6~7世紀以降はアルスターの王として君臨したオニール一族がこの地を治めましたが、12世紀に南部のマンスター王国のオブライン一族により破壊されました。
19世紀に考古学的な調査・修復が行われているものの、かなりの部分がオリジナルのままだそうです。
リング・フォートの壁の中にはスータレン(Souterran)という緊急用の避難路がしばしば作られているのですが、グリアノン・オイロックも例外ではなく、避難路への入り口がよく残されています。

入ってみたお客様。壁の厚みは場所によって3.5~4.6メートル。この入口から左右へ、壁の中を伝って通路がのびていて、もともとは外へ抜けて出られるようになっていました

テラスに座ってハイ・ポーズ。可愛い子供たち♪
7月も下旬になると丘いっぱにヒースの花が咲き乱れ、それはそれはきれい。お気に入りのリング・フォートのひとつです。
※行き方:デリー(Derry)~レタケニー(Letterkenny)を結ぶ国道13号線沿い。デリーから来る場合、国境を過ぎて数キロ走ると、左側に円形の教会(リング・フォートのフォリー!)が見えてきます。教会手前を左へ曲がり、三ポストに沿って丘の上へ。道が細いので注意。
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