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ブロンテ父の故郷を訪ねる

先日、ベルファーストからの帰り道に、ずっと行ってみたいと思っていた「ブロンテ・ホームランド」へ寄り道して来ました。

19世紀英国文学史に大きな功績を残したブロンテ姉妹。シャーロットの『ジェーン・エア』やエミリーの『嵐が丘』は、今も名作文学として世界中で読み継がれています。
ブロンテ姉妹のゆかりの地と言えば、イギリス・ヨークシャー州のヘイワースを中心とする地域ですが、ここアイルランドにある「ブロンテ・ホームランド」は、姉妹の父パトリック・ブロンテのゆかりの地、北アイルランドのカウンティー・ダウンです。

ベルファーストからダブリン方面へ向かう1号線沿い、バンブリッジという町の近くに、"Bronte Homeland"というとてもわかりやすい看板が出ているので、そこから田舎道へ入ります。
目指すは、パトリックが司祭として初めて勤めた、丘の上のドラムバリローニー教会

bronte church


教会のとなりには、ワンルーム・スクールだった小さな建物があり、パトリックはそこで教鞭をとっていました。現在、そこがブロンテ・ホームランドのビジター・センターとなっているのですが、オープンは3月~9月のみ。残念ながら、この日は外からのぞくだけとなりました。
※2019年9月追記⇒冬期のオープンは事前に要確認。

教会裏手から見晴らす景色は素晴らしく、カウンティー・ダウンの緑豊かな丘陵地帯や、北アイルランド最高峰スリーブ・ドナード(850メートル)を含むモーン山脈が一望出来ました。

bronte landscape


さらに「ブロンテ・ホームランド・ドライブ」を進み、パトリックの生家跡へ。

bronte birthplace


すっかり廃墟となった小さなコテージ、どうやら、2部屋しかない様子。ここで、かの偉大なブロンテ姉妹の父親が誕生したのかと思うと、何やら感慨深いものがありました。
1777年3月17日に、10人兄弟姉妹の長男として生まれたパトリック・ブロンテ。(セント・パトリックス・デー生まれなので、この名が付いたんですね)生家跡の立て看板の説明によると、兄弟姉妹は、村で評判の腕白小僧たちだったようです。

ブロンテという姓は、パトリックがイギリスに渡ってから名乗るようになったもので、もとの名はプランティ(Plunty)と言い、パトリックの父ヒューは、もともとダブリン近くのカウンティー・ミース、世界遺産として知られるニューグレンジのある辺りの出身です。
ヒュー・プランティは地元で評判のストーリー・テラーで、姉妹の文学的才能は、このアイルランド人の祖父から受け継がれたとも言われています。また、父親が語って聞かせたアイルランドのさまざまな話が、文学に目覚めていく過程で影響を与えたこともあったようです。

偉大な文学者のバックグランドにあった、アイリッシュ・コネクション。そんなことを思いながらブロンテ作品を再読してみたら、また何か新しい発見があるかもしれませんね。

参照:
Bronte Homeland Interpretive Centre
Bronte Homeland
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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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