記事一覧

7月12日はオレンジメンズ・デー

終日、ベルファースト(Belfast, Northern Ireland)の市内観光。
7月のこの時期のベルファーストは、プロテスタント系の人々が住むエリアで大きな櫓(やぐら)のようなものがあちらこちらで見られます。

orangedaybonfire2
シャンキル・ロード(Shankill Road, Belfast)近くにて。写真では大きさがわかりにくいかもしれませんが、2階建ての民家くらいの高さは優にあるでしょうか…

これは7月12日のオレンジメンズ・デー(Orangemen's Day)を祝う、ボンファイヤー(焚き火)用の櫓。
ベルファーストを中心とする北アイルランドのプロテスタント系住民地区では、この日に向けて住宅地ごとに櫓を組み、当日そこに火を放ち、大きなボンファイヤーが行われるのです。

オレンズメンズ・デーというのは、そもそも1690年のボイン川の戦いでのプロテスタント軍の戦勝記念日。
1688年、カトリック教徒であったジェームズ2世がイングランドの王位から追放され、代わってオランダ総督であったオレンジ公ウィリアムがウィリアム3世として新王に即位する…というのが名誉革命ですね。ボイン川の戦いというのは、この名誉革命のその後の事件です。
フランスに亡命したジェイムズ2世はカトリックの援軍を率いてアイルランドに上陸。これを迎え撃つためウィリアム3世もイングランドのプロテスタント軍を連れてアイルランドへ。カトリック(フランス&アイルランド連合軍)VSプロテスタント(イングランド軍)の2大勢力がアイルランド各地で戦争を行い、その最後の決戦が1690年7月1日、ダブリン北部のボイン川のほとりで行われたというわけです。

結果はウィリアム3世率いるプロテスタント軍の勝利に終わり、以降、ヨーロッパ全体の力関係が旧教の国(フランス、スペインなど)から新教の国(イギリス、オランダなど)へと移行していく中、イングランドのアイルランド支配がますます優勢になっていく…というわけです。

このボイン川の戦いは7月1日に行われたのですが、その後アイルランドではグレゴリウス暦を採用され、暦が11日ずれたため、現在のカレンダーでは7月12日となります。

戦勝記念日…と言っても、あくまでプロテスタント系住民にとってであり、北アイルランドにはカトリック系(アイルランド系)の住民も約半数いることを忘れてはなりません。
彼らにとっては負けた日を祝われることになるわけですから、北アイルランド紛争が激しかった時代には、オレンジメンズ・デーはしばしば暴動の火種となる危険な日でもありました。

7月12日は北アイルランドではバンク・ホリデー(祝祭日)で、暴動などを懸念してか今でもベルファーストのシティーセンターなどのショップやレストランはクローズするところが多いです。
ちなみにオレンジメンたちが住宅地を行進したりもしますので(オレンジはプロテスタントの色。このマーチングはなかなか盛大です)、交通も麻痺したりします。地元に知り合いでもいて見学できるならラッキーですが、観光客として出かけて行くには勝手がわからないと危険なことにもなりかねませんから、この日の市内観光は避けた方が無難です。

プロテスタント系住民地区で育った地元の人たちの中には、子供の頃から親しんできた地域の祭りとして楽しみにしている人・この日に向けて張り切っている人たちが多くいます。
大きな櫓をあちらこちらで見るにつけ、そんな心意気がひしひしと伝わってきました。
年中行事として安全に行われますように。

orangedaybonfire
シャンキル・ロード近くの有名なガンマンの壁画。このガンマン、どの角度から見ても必ず見る人を狙っているように見えるのです…不思議!


コメント

コメントの投稿

非公開コメント

全ての記事を表示する

スポンサーリンク

お知らせ ☘

新刊のお知らせ
「絶景とファンタジーの島 アイルランドへ」(イカロス出版)2017年5月29日発売

ikarosbook0517
アマゾン
イカロス出版サイト

イベントのお知らせ
★スケジュールが決まり次第、お知らせいたします!

プロフィール

naokoguide

Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培など。愛読書は『赤毛のアン』とW.B.イエーツ詩集♪

カレンダー

01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -

月別アーカイブ