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続・ついに上陸…スケリッグ・マイケルへ!

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そそりたった岩の島、スケリッグ・マイケル。600段の石段を登って山頂へ…

そのうち書きます…と言ったきり、気づけば4年(!)以上も経ってしまったスケリッグ・マイケル(Skellig Michael, Co. Kerry)上陸記。
「スター・ウォーズ」新作に登場した影響で「スケリッグ・マイケル」のキーワードでのアクセス数が多いようですので、ずいぶん時間が経ってしまいましたが続きを完成させようと思います。

ついに上陸…スケリッグ・マイケルへ!(2011年8月)からお読みください。

リトル・スケリッグを船上から眺めたあと、いよいよメインのグレート・スケリッグへ上陸です。
上陸してみると、意外に大きな島でびっくり。遠くから見ている限り平らな場所などまったくなく、岩にはいつくばって山頂へ登るような感じをイメージしていましたが、波止場から登り口までも結構距離があり、歩道がきちんと整備されていました。

島は景観が素晴らしいだけでなく、初期キリスト教の修道士たちが修行生活をしていた時代の史跡が残っています。
話に聞いていた600段の石段(冒頭写真)は1000年以上も前に修道士が建設したもの。島のいちばん高いところは海抜200メートル、史跡があるのは高さ180メートル、そこまでかなり急な傾斜を登ることになります。
高所恐怖症の方にはところどころ怖いかも(笑)。

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石段を登り切ると、ビーハイヴがずらり。全部で6体あります。本土のディングル半島に見られるものと同じように接着剤をまったく使わず平らな石を積み重ねただけの構造

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石積みの隙間から見晴らすリトル・スケリッグ。こんな石の十字架がたくさんあるのですが、「スター・ウォーズ」でも振り向いたルークが石の十字架の前に立っていましたね

ビーハイヴは紀元前の時代にケルト人が海からの外敵から身を守るために造った要塞の一種…などと説明されることもありますが、起源は不明。アイルランド独自の建造物ですが、アイルランドの中でもディングル半島やスケリッグ・マイケルなど、南西部の一部地域にしかありません。
スケリッグのものは6世紀頃、キリスト教の修道士がやってきて建設。12世紀頃まで最大12~15人の修道士がここで、祈りを中心とした暮らしを営んでいたようです。しかし、島周辺の気候が変わって寒さが際立ってきたこと、ヨーロッパ大陸から教会改革の波が押し寄せてアイルランド独自の「ケルト教会」の伝統が維持できなくなったことから、修道士たちは本土に移り住み、島は無人になってしまいました。

中世には巡礼者が訪れ、19世紀には2つの灯台が建設され、灯台守とその家族が暮らしていました。総勢30名の子供がここで生まれたそうです。

アイルランドの初期キリスト教の修道士たちは隠遁生活を重んじ、厳しい環境に身を置いて瞑想や祈りにより悟りをひらきました。
食べるものはカツオドリなどの鳥の卵や魚。そして、こんな岩島の限られた土地でも穀物や野菜を作っていたというから驚きです。
通りすがりの船から物々交換で物資を手に入れることもあったようです。なんともサバイバルな生活!

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岩の斜面には可愛らしい花々が咲き乱れていました

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リトル・スケリッグと本土のイヴェラ半島の山々を見晴らす

スケリッグ周辺はツノメドリの生息地でもあります。英語でパフィン(Puffin)と呼ばれる、クチバシの先端がオレンジ色の可愛らしい姿の水鳥。普段は水上にいるため、なかなか近くで見るのが難しいのですが、夏の1週間位のみ産卵のためにスケリッグ・マイケルにやってきます。

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写真はWikipediaより

以前、友人がちょうどツノメドリの産卵期にスケリッグ・マイケルを訪れ、それこそ至近距離でヒナも一緒に写真が撮れた~と見せてくれたことがありました。私たちももしかしてツノメドリに会えるかな…と期待していたのですが、島のガイド(夏の間はOPWのガイドが島に常駐しています)に「2日間にちょうど水上へ帰っちゃったよ」と言われてがっがり。
帰りのボートから目をこらしていたら、水上にプカプカ浮かんでいるツノメドリを数匹見ることが出来ましたが、写真に収めることはできませんでした。残念。

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飛んでるのは全部カツオドリ。もしかしたら一匹くらい水に浮かぶツノメドリが混じっているかもしれませんが(笑)

島には数時間いたでしょうか。ボートの出航時間までの間に観光、本土から持ってきたランチを岩の上に広げてランチ。ピクニック気分の楽しい1日でした。
何より、スケリッグ・マイケルへ行くことを目的にアイルランドを再訪してくださったお客様がとても喜んでくださったのが嬉しかったです。

この初上陸から4年経ちましたが、その後、2度目のスケリッグ・マイケル上陸のチャンスはまだめぐってきません。
今年の春にアイルランド旅行をご案内させていただいたご夫妻様が、やはりスケリッグ・マイケルへ行くためだけに再びアイルランドに来たい!とおっしゃってくださり現在プラン中ですので、2016年には再訪できそうです。
19世紀はキリスト教徒が命がけで巡礼に訪れる場所だった神秘の島。これだけあちこち行っているガイドの私でさえ行けるチャンスが少ない秘境ですから、多くの方にとってスケリッグ・マイケル訪問は生涯に一度の貴重な体験となることでしょう。

スケリッグ・マイケルへのボートが運行されるのは、基本、4月から9月。
運行状況は天候に左右されるので、ボートが出る確率は5日に1日くらい…と地元の人は言います。3日間ほど周辺に宿泊して、ボートが出る日を狙うのが得策。
シーズン中はボートは込み合いますので、事前に予約した方がいいでしょう。
(現在13のボートが島への上陸許可を得ています。下記、ネット検索で最初に上がってくる3社)

http://skelligislands.com/
http://www.skelligmichaelcruises.com/
http://www.skelligsrock.com/

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帰りのボートから、グレート・スケリッグ見納め…

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コメント

chie

スターウォーズ見ましたよ~
ルークがいたあの場所はアイルランドで撮影されたんですね。
地球ではないと思ってました。(笑)
もう一度スターウォーズを見る予定なので、スケリッグ・マイケルを意識して見ますね。

naokoguide

Re: タイトルなし
chieさん、コメントありがとうございます。
ははは、地球ではないと思うくらい、美しくマジカルな場所です!

eileen

エトピリカ
こんにちは。そしてあけましておめでとうございます。30年くらい前にアイルランドに住んでいたので、ナオコさんのブログを見つけていつも楽しみに読ませていただいています。エトピリカはアイヌ語で美しいくちばしという意味の海鳥ですが、ツノメドリとは違う種類の海鳥みたいです。私も以前美しいツノメドリに興味を持って調べていたら、ツノメドリに似た海鳥が日本の北海道に生息していることを知りました。今年は久しぶりにアイルランドへ行こうと思っています。今年もブログを楽しみにしています(^@^)

naokoguide

Re: エトピリカ
eileenさん、コメントありがとうございます。30年前のアイルランドは今とはずいぶん違っていたことでしょう、興味深いです。
エトピリカのこと、教えてくださりありがとうございます。早速、ブログ内の該当箇所を削除させていただきました。これからエトピリカについて検索してみようと思います。

いつもブログを読んでくださりありがとうございます。今年はアイルランドにいらっしゃるんですね、楽しい旅行になりますように。今年もよろしくお願いいたします!
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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