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天草への旅③ ~ 父の育った町へ・後編

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満開の桜から海がすけて見えました。父の育った町にある桜の名所より

天草への旅② ~ 父の育った町へ・前編 より続きです。

鮮魚店をあとにして、大叔母が入院しているという町の小さな病院を訪ねてみました。
突然行ったところですぐに面会できるのだろうか…などという心配は全く無用で、受け付けで事情をお話しすると、「どうぞ会っていってください~」となんだかとっても気楽な雰囲気。

30数年ぶりに会う大叔母が、果たして私たちのことを覚えていてくれるだろうか…などという心配もこれまた無用で、「血」は年月を超えるのだと実感。
病室のベッドに横になっていた大叔母に母が話しかけると、「テツオは私の甥ですが…、ああ~、よう来てくださった~、うわ~ん、うわ~ん」と涙を流して喜んでくれました。
数年前に100歳を超えたという大叔母は、横になってはいるものの頭はしっかりしていて、私の記憶の中の天草のおばあちゃんにそっくり。きっと父がおじいちゃんになるまで生きていたら、こんな感じの顔つきになっていたのかな…と、父の面影もみとめられるような気がしました。

私は大叔母を見た瞬間から涙が止まらず、ひくひくしてしまってものも言えないような状態だったのですが、母はすごくて、こんな感激の瞬間にあっても泣き崩れることなく、いつもの通りしゃんとしたまま。
大叔母の上にかがみこんで、まるで看護婦さんのように上手にはっきりと語りかけている母を見て、ああ、年を重ねると、こういう場面でもしっかりしていられるようになるのかな~などど、変なところに感心してしまいました。

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病院の前にかかげられていた、しめ縄。天草では多くの民家が玄関口にしめ縄を飾っています。お正月でもないのにどうして?と疑問を呈したところ、事前に情報収取してすっかり天草博士になっていた姉が、天草の習慣だと教えてくれました。隠れキリシタンの地・天草では、その昔、表面上は神道の信者であるように見せかけるためにしめ縄を飾ったそうで、その名残りなのだそう

それにしても、100歳を過ぎた大叔母の、語り口のしっかりしていること。母が何か聞けばぽんぽんと返ってくるし、ちょっととぼけたことを言って場をわかせたりするユーモアのセンスもあって、可愛いのです。
どことなく天然な感じの陽気さも見られ、ああ、南の島の人だな~といった感じも。

そういえば父方の親戚はみな、父も含めてちょっとこんな感じだったかも。のんびりと気のいい人たちで、世の中なるようになるさ~と、人生に対しても一本気が抜けたようなたたずまいがあって…。
特にジョークを言うというわけでもないのに、会話全般がなんだかおとぼけ系で可笑しいのです。(私たちはそれをあんまり笑ってあげられなかったのだけれど、父は気にしていなかったと思う)
天草の気質なのかもしれません。

あとで姉から教えてもらったことですが、天草は長寿の地でもあるそうで、世界最高齢の女子アナがいることでも有名。
最高齢って一体いくつ?…と思ったら、なんと107歳! …スゴすぎます。→天草テレビ アナウンサールームのHP
そう聞くと、大叔母の102歳(多分)というのも、天草では珍しいことではないのかも?
(「100歳超える人と初めて話しちゃった~」と感動していた我が姉。感動のポイントがソコ?って感じで突っ込みを入れたくなりましたが、私たちにも父方の天然さがちゃ~んと入っているのね…とこっそり納得。笑)

大叔母は天草生まれ、天草育ち。島から出て暮らしたことはありません。
現在お世話になっている病院は家のすぐ隣りで、「ここの先生も土地の人だから…」と、安心して皆さんによくしていただいている様子。
鮮魚店のご主人の話では、半年ほど前、もうダメかも…という時期があったそうですが、持ちこたえてまた元気になったのだそうです。

思えば今回の大叔母との再会は、まるで導かれたかのようにして起こりました。
ほとんど行き当たりばったりで足を踏み入れた、父の町。するすると糸がつながるようにして行き着いた、父を知る人、そこから、町に唯一存命する父の血縁・大叔母へ…。
旅の一週間前に、父の17回忌の法要を信州の実家ですませたところでした。今回天草へ同行してくれた母方の叔母は、「早速、ご利益があったのね~」と即座に言ってくれました。

旅から戻り、父方の伯父・伯母に「天草で大叔母に会ってきました!」と報告すると、「ありがとう~」とこれまた泣いて喜んでくれました。
みんなハッピーな気持ちになるよう、あれもこれもすべて、天国の父がちゃんとお膳立てしておいてくれたような気がしています。パパ、どうもありがとう♪

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天草から戻り、信州の実家で昔のアルバムをひも解いてみました。30数年前の夏の天草・父の町の浜にて。真ん中でちゃぷちゃぷやっている豆粒みたないのが私で、右側が父。左は姉といとこのお兄ちゃん

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この景色、今も変わらず。前編の釣り人の写真の背景と同じ場所です

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故郷の浜で超・楽しそうな父(左)。おそらく天国での父は、毎日こんふうなんじゃないか…という気がして、この写真を見ると、「パパ、天国でも元気でね!」と手を振りたくなってきます(笑)

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コメント

こういうことって本当に有るのねぇ。
なんだか、直子ちゃん自身がモンゴメリの短編小説の登場人物みたいに
思えてきました。
誰も経験出来ないような素敵な思い出が出来て良かったね。

Pearlさんへ

どうもありがとう。
ほんと、なんだかとってもドラマチックな経験でした。

物語のようなお話に読みふけってしまいました。
子どもの頃には立派な「おばさん」と見なしていた年齢に自分がなってみて、自分自身は20年30年前のことを昨日のように思い出せるんだよなあと、鮮魚店の方の話し振りのくだりで思いました。ノスタルジックな写真と、家族いっしょに子どもの頃夏を過ごした場所へ思いでを辿ってゆく旅は、とても豊かなものですね。良かったですね。
私も、特に今はこの夏が涼しい国に住んでいるせいか、暑い夏とともに、故郷を懐かしく思い出しました。

それにしても震災後に日本に行けてラッキーでしたね。あれからすごく日本が恋しいです・・。

MMさんへ

嬉しいコメント、ありがとうございます。
個人的なことをブログに書きすぎたかな…とちょっぴり思っていたのですが、あまりにも印象的で忘れがたい体験だったので、記録に残したくて書きました。読んで共感していただけて、なんだかとっても嬉しいです。

あの時期に日本へ行けたことは、いろいろな意味で本当にラッキーでした。私も、震災があって、この家族での思い出があって…。最近、特に日本を恋しく思います。

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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